全面複雑形状で掴むところがない小径旋盤部品、S0.6のミニチュアねじ加工
- 【タグ】
- 【加工技術】
- 【加工設備】

材 質:
SUS303
サイズ:
φ9.3×10mm
精 度:
±0.01
個 数:
3個
納 期:
9日
ポイント
- 複合旋盤を活用した多面同時加工
- 旋盤加工の後にマシニングセンターで追加工
- 呼び径0.6のミニチュアねじ加工(S0.6)
内容
全面が複雑形状となっている小径旋盤部品の加工事例をご紹介します。
外径φ9.3、長さ10mmの円筒形状ですが、円筒の上下面および外径に加工があり、寸法公差、幾何公差が多数定義されている高難度の部品です。
小径製品に特化した複合旋盤による多面同時加工で形状を実現しておりますが、それだけでは完結できない要素があり、マシニングセンターの工程を追加して製作しています。

小径部品に特化した複合旋盤の機能をフル活用しています。
ワンチャックの多面同時加工により外径の円筒度公差、多数ある穴の同軸度公差、位置度公差を「0.03~0.05」外径に対する斜め加工を含んだ寸法公差を「±0.01」で製作しています。

ワンチャックによる多面同時加工でほとんどの箇所は加工できますが、今回は全面に加工要素があるため、チャックしている部分の加工が残ってしまいます。
加工後の形状が複雑かつ薄肉となるため、旋盤での掴み直しもできません。
残った部分はマシニングセンターによる追加工で完成させました。前述の通り、公差が厳しい製品であるため、専用の治具を製作し、高精度の位置決めを実現しております。
こうした加工機械を跨いだ柔軟な工程設計は当社の得意とするところです。

製品自体が小さく、そこに微細な加工が多数含まれております。
具体的にはM1タップ加工、呼び径0.6のミニチュアねじ(S0.6)加工やφ2以下のH公差穴加工に加え、深い掘り込みや薄肉部もある難易度の非常に高い製品です。
小径旋盤部品を製作する際は細心の注意を払っています。製品が小さいとバリの除去が難しいので、バリを発生させないようにプログラムを工夫しています。どうしても残るバリは手作業で対応しています。肉眼で捉えることが難しい大きさであるため、この作業は熟練を要します。
当初、複雑形状の多面加工は何度も中間検査を行い、寸法の調整をしていました。類似形状の部品製作を繰り返すうちに、ノウハウが蓄積され、今ではほぼ一回で各種公差を満たすことができるようになりました。今回の事例でも3個を9日で完成させています。
複雑形状の小径旋盤部品製作は経験豊富な私共に是非お任せください。