細幅型を社内製作、曲げ突合せ部寸法0.02mmを実現
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材 質:
SUS304CSP-1/2H
板 厚:
t0.3
サイズ:
15×18×20mm
精 度:
±0.05
個 数:
5個
納 期:
5日
ポイント
- φ0.5のエンボス加工
- 0.7mmの鈍角曲げ(アマ曲げ)
- 隙間0.02mmの突合せ部
内容
今回は板厚0.3mmと薄く変形しやすい形状で、精度が厳しく、当社の金属加工の中でも難易度が高い製品の加工事例です。
側面部内側にΦ0.5のエンボス加工、すぐ近くにΦ1.6の絞りがあります。この2つは同時加工ができず、距離が近いため加工時に干渉してしまう恐れがありました。
そこで当社では、互いが干渉しないよう考慮した型を社内で設計、製作し、仕上げています。さらに、エンボスには±0.05の厳しい位置精度があったため、公差から外れないよう工法に工夫をしています。
また、幅0.7mmの細いツメがあり、当社の標準型で曲げると周囲にも影響が出てしまうため、ツメ幅に合わせた型が必要となります。今回は、社内のワイヤー放電加工機で、細幅の専用型を製作し対応しました。このように、状況に応じて簡易金型を製作できるのも当社の強みです。
最終的には四角に折りたたむ形状になりますが、突合せ部の隙間を0.02mmに維持しなくてはなりません。ここで重要になるのが展開長と曲げ精度です。展開と曲げの担当が綿密な打合せを行い、テストをしたことで、ズレることなく隙間を維持しています。

精度を満足させるには、プレス加工時の位置決めが重要となります。
基準は距離が近い方が寸法の誤差を抑えられるため、隣接した四角穴を使用して加工しています。基準穴は、当然ながら誤差を最小限に抑える必要があります。
当社ではこの穴をファイバーレーザー加工機で加工を行っております。
(因みに薄板であれば、±0.03程度の精度を確保することが可能です。)

0.7mm幅の曲げの周囲にはスリットがあり、幅は1.6mmしかありません。
周囲に影響なく曲げ加工を行うには、スリット幅より細い型が必要です。細い型は必然的に折れやすく、取り扱いが難しくなります。

曲げ回数が8回と多く、1カ所でもねじれがあると、綺麗な隙間が維持できません。曲げの順番や、ストッパーの当て方、左右のバランスなどに細心の注意を払いながら仕上げています。
今回の製品は、0.3mmと薄く変形しやすい形状なうえに、精度要求が厳しく、ハイレベルな加工技術が要求される製品でした。 薄くて、複雑な精密部品の加工は当社の得意分野であり、関連するノウハウをたくさん持っています。
近年、小さい部品の加工依頼も増え、手で掴めないサイズの製品を加工する時は、ピンセットを使って曲げ加工をすることもあります。
微細部品の試作でお困りの際には、お気軽にお問合せください。
突合せ部を「溶接してほしい」などのご要望がございましたらご相談ください。当社には薄板加工に特化したYAGレーザー溶接機もございますので、問題なく溶接が可能です。