残り板厚0.1mmの潰し形状をプレスから切削加工へ工法転換
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材 質:
SPTE(ブリキ)
板 厚:
t0.2
サイズ:
12 × 40 × 3.5mm
精 度:
±0.02
個 数:
30個
納 期:
7日
ポイント
- 絞りの中の潰し形状を切削加工で対応
- 高さ公差±0.02の高精度絞り加工
- 工順の工夫で絞っても変形のない仕上がり
- 型の干渉を考慮した専用の曲げ型を社内製作
内容
今回は、板厚0.2mmのブリキで、板金と切削を組み合わせて完成させた精密プレス部品の加工事例をご紹介します。
この製品には、絞りがあり、その絞りの中には潰し形状があります。
製品自体の板厚が0.2mmと薄いですが、潰し部は残り板厚が0.1mmしかありませんでした。絞りの前に潰すと絞り時に伸びてしまい、後から潰しても絞りが変形してしまう恐れがあります。さらに絞りと潰しのいずれも±0.02の厳しい公差指示があったことから、今回は潰し部を切削加工で対応しました。
曲げ加工においても、製品が小さいために距離が近く、型が干渉してしまう箇所がありました。こちらは干渉を考慮した金型を社内で設計、製作し対応しています。
中央部が抜けた不安定な形状で、変形を最小限に抑えるためには、どこからどのように加工を進めるか、工程設計も重要となります。

【切削で対応した潰し形状】
板金材料の切削は、ひずみや板厚のバラつきが精度に影響するため、セットのたびに測定を行う必要があります。さらに、切削加工において残り板厚が0.3mm以下となると、裏面への盛り上がりやビレ、変形などが発生し始めます。今回は上記2つの要素が重なり非常に難易度の高い加工でした。

【高さ公差±0.02の高精度絞り加工】
絞り加工に使用した金型も社内で設計から製作まで行っています。型を内製することで、すぐに微調整ができるため、厳しい精度の加工品にも迅速に対応できます。
(写真は裏面から厚み0.1mmを残して切削加工を行っていますが、盛り上がりや変形なく綺麗に仕上がっています。)

【型が干渉する曲げ】
曲げ同士の距離が近く、立ち上がってきた部分が干渉してしまうため、干渉を考慮した専用の簡易金型で加工を行っています。この製品に使用した金型は他にもありますが、全て社内で設計から製作まで行っています。
近年、精度が要求される板金部品の依頼が増えてきています。当社の「手作り」の工法だけでは、精度の確保が難しい製品の依頼もしばしば…
そんな時は、今回のようにプレス加工の要素を切削に置き換える工法を取ることがよくあります。 切削への工法変更は、精度が確保できるだけでなく、本来加工に必要だった金型の製作が不要となり、コストを削減できるだけでなく、納期短縮のメリットもあります。
板金と機械加工を掛け合わせた複合加工は当社が特に得意としている加工の一つです。 手作りでは難しいと思われる精密板金・プレス加工でも、お困りの際は是非一度ご相談ください。