切り起こしと曲げ絞り加工、2種類の板厚を共用型で対応
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材 質:
高強度・高電導性銅合金
板 厚:
t0.7/t0.8
サイズ:
40 × 50 × 10mm
精 度:
±0.1
個 数:
各30個
納 期:
14日
ポイント
- 支給材からの加工
- 板厚違いでも共用できる金型を社内で製作
- 曲げのような絞り加工
- 切り起こし部エッジ確保のためのスリット加工
内容
高強度・高電導性銅合金で加工した端子の加工事例をご紹介いたします。
材料支給で、同形状のt0.7とt0.8の板厚違いでの製作依頼でした。
基本的に、板厚が違う場合は、寸法が変わってしまうため別々に金型を用意する必要があります。今回は数量も少なく、なるべくコストを抑えたいというご要望もあったため、板厚違いでも共用で使える金型を設計、製作し対応いたしました。
この製品には、切り起こし形状があります。
図面には切り起こし部にエッジがあり、通常の工法では絞りの角がダレてしまうため、エッジを作るためにスリットを入れることをご提案させていただきました。
さらに、周囲は曲げのような絞り形状となっています。
斜面に切り起こしがあるため、スリットとの位置がずれてしまい、切り起こしと曲げ絞りの同時加工は不可能でした。先に切り起こし部を加工し、成型した箇所を潰さないように配慮して絞る必要があります。

<切り起こし部>
先にスリットを入れてから絞るため、事前に入れたスリットとの位置合わせが重要なポイントとなります。ズレ防止のために専用治具を用いて加工を行っています。写真の通り、しっかりと位置が合っています。

<曲げのような絞り加工>
斜面に切り起こしがあるため位置がずれやすく、絞りと切り起こしの同時加工は、現実的ではありませんでした。工程を分けて加工をすると、絞り時に切り起こし部が干渉しますが、切り起こしを成形しながら絞れる金型を製作し、変形なく仕上げています。

<共用できる金型を社内製作>
金型の全貌はお見せできませんが、製品の精度を考慮したうえで、どちらの板厚でも要求公差を満足できる金型を考案し、製作しました。この共用の金型は、設計から製作までの全ての工程を社内で対応しています。
今回の製品は、「高強度・高電導性銅合金」という加工実績のない材料でしたが、テスト加工を行いながら、加工を進めていきました。
初めて扱う材料は、様々なリスクがあるため敬遠されがちですが、当社では、あまり聞きなれない材料のご相談も多く、特殊材の加工実績が多数ございます。他社で断られてしまった材料でも、当社では加工実績があるかもしれません。
支給材からの加工依頼にも対応いたしますので、お困りの際には是非一度、ご相談ください。